週末の金曜日。京都に宿を取り、
土曜日は日帰りで瀬戸内海に浮かぶ小さな島、
直島に遊びに行ってきました。
京都を早朝に出発し新幹線で岡山へ、
そこから電車を乗り継いで宇野港に到着。
フェリーで20分、潮風に吹かれ
船から見える景色を少し楽しんだら
宮浦港の先端で 真っ赤なカボチャが出迎えてくれました。
Red Pumpkin ©Yayoi Kusama,2006 Naoshima Miyanoura port square
直島といえば アートの島。
草間彌生さんのカボチャがあることで有名ですが、
こうして本物を目の前にすると感動で
なんだか夢のようでした。
草間さんによるとこのカボチャは
《太陽の赤い光を探しに行ったけど
直島の海で赤カボチャに変身してしまった》のだそう。
だからかな 真っ赤なカボチャは太陽のような元気パワーを放ちながらも
優しい瀬戸内の海の景色にしっかり馴染んでいます。
カボチャは中に入れるようになっていて
水玉の穴から海を見ることができます。
のんびり釣りをするおじさんを水玉の世界からのぞいてみました。
海の駅なおしま。
観光案内所、バスターミナル、
カフェ、乗車券売り場、
レンタサイクル、土産売り場。
こちらに島内の情報がギュッと集まっていますが、
仕切りが全面ガラスなので 一目で何があるのかわかるし
海や島の人々の暮らしも見えてとても風通しが良いのです。
妹島和世+西沢立衛 SANAAによるデザインは待合室の椅子から
案内板のピクトグラムに至るまでおしゃれで
美術館のよう。
島は 宿泊施設がある美術館・ベネッセハウスや
安藤忠雄さんの地中美術館を含めた
ベネッセアートサイトがある美術館エリアと
海水浴場や釣り場がある積浦・琴弾地エリア、
そして家プロジェクトがある本村エリアと、
海の駅なおしま がある宮浦エリアの4つに分かれています。
まずは 一番見てみたかった
本村地区に点在する6軒の《家プロジェクト》を
自転車で廻ってみることにしました。
家プロジェクトとは 古い家屋を改修し、
アーティストが家の空間そのものを作品化したプロジェクトです。
Haisha ©Shinro Otake 2006
大竹伸朗さんの《はいしゃ》。
女医さんが経営していたという歯医者兼住居が
島にあった廃材で大胆にコラージュされ
丸ごと作品になったものです。
一階から二階を突き破り
窓から顔をのぞかせる彫刻のタイトルは
自由の女神ではなく、《女神の自由》。
左手には聖書じゃなくDVDを持った現代の女神です。
外国人観光客が小さく「オーマイガ!」
と呟いていたのがおかしかった。
船の先端や古い商店の看板があちこちに貼り付けられた外観は
もちろんカッコいいのですが
内装は更に狂ったようにコラージュされていてもっと凄いです。
どの家プロジェクトも 中は撮影禁止、
訪れた人だけしか見ることはできません。
Go'o Shrine ©Hiroshi Sugimoto 2002
杉本博司さんの《護王神社》。
島で氏神さまとして大切にされてきた神社がボロボロになったので
なんとか綺麗にして欲しいと島の人々に要請され、
家プロジェクトとして生まれかわった神社です。
本殿中央にそびえる水のように光るガラスの階段は
地下の古墳に見立てた暗い石室にまで繋がって伸びていて、
懐中電灯を持って地下を見に行けるお楽しみもあります。
光学ガラスを使った階段は神様の通り道。
神様を大事にする地元の人たちの気持ちとアートが一体化し、
厳かな霊力を感じさせる作品になっているところに胸が震えました。
瀬戸内海は始めて見ましたが 波がとても穏やかで
柔らかい風がずっと吹いていて
太陽の光も白くまろやかに感じられました。
豊かな自然があって 人々は優しくて
アートと一緒になって それぞれを引き立て合っている、
直島はそんな印象。
あっという間にこの島が大好きになりました。
Pumpkin ©Yayoi Kusama
1994〜2005
と思ったら 桟橋に今度は黄色いカボチャが!!
このカボチャも当然ながら観光客に大人気。
入れ替わり立ち代り写真撮影をする人で行列ができていました。
その様子をビーチで見ながら 私と息子は
透明な海に膝まで入って遊びました。