大通公園すぐそば。
昭和29年に建てられた大五ビルヂングの雰囲気が好きです。
今も現役で使われているレトロなビルには
どっしりとした重厚さの中にエレガントさも感じられるからです。
ところどころに黒を配したクリーム色の床と乳白色の壁。
丸いカーブを描く階段の手すりも優雅。
その昔、仕事で毎日札幌駅から大通にかけて外を歩いていた頃。
そのような古いビルに入っている会社をいくつか訪ねていましたが、
エントランス、エレベーター、ドアノブや
はたまたお借りしたトイレに見られる
古き良き時代の贅沢なデザインを観察しては、
うっとりとしていたのを思い出します。
いまでは用事がないとそんなビルに入ることはないですからね。
それが今日は kita:kara Galleryで開催中の葛西薫さんの展覧会を見るために
大五ビルヂングを訪れることになりました。
《ヒロシマ・アピールズ》。
日本グラフィックデザイナー協会と、財団法人広島国際文化財団が
「ヒロシマの心」を訴えるポスターを1983年から毎年共同制作しているもので、
その16作目になる葛西さんの作品が今回東京から巡回してきたのです。
夏の陽のまぶしさを見上げる、坊主頭にタンクトップの少年。
シンプルで力強い作品に
葛西さんのヒロシマに向ける思いが込められていて、
8月のジリジリと焦げ付くような強い日差しや
蝉の鳴き声までが感じられるようでした。
ギャラリーでは、葛西さんが手がけたサントリー・ウーロン茶や
ユナイテッドアローズなどの企業CMがモニターから流れていました。
以前、テレビ東京「ファッション通信」が
地上波で放送されていた時によく流れていた
ユナイテッド アローズのCMが本当に好きでした。
ネクタイをプロペラにしてグレーの空に飛んでいく二人の男。
スーツを着た豚に 靴をはいた象。
「ココロにウタを。カラダにアイを。」
のコピーもよかったなぁ。
甘い夢の中にいるようで その夢が消えてしまうようで
CMが終わるのが切なかった。
そんなわけで、私の敬愛するデザイナー葛西薫さんの話をしだすと
長くなるのでこの辺にしておきますが
この秋 札幌に出来た赤レンガプラザ。
建物は近代的だし混んでいてなんとなく落ちつかないけれど、
葛西さんがロゴをデザインしたというのを知って
赤プラに行くのがまた楽しみになりました!
「ヒロシマ・アピールズ」を見たあとは
同じビルの6階にあるKanata art shopで
知的障がい者支援施設・しょうぶ学園の
「暮らしのアート展」を見せてもらいました。
独創的で自由な線。
ファンキーだったりロマンチックだったりと色づかいも素敵で
私はしょうぶ学園のアーティストたちのファンなのです。
いつか鹿児島のしょうぶ学園にも遊びに行ってみたいです。