父の日の日曜日は家族で海までドライブしました。
途中に寄ってみた崖の上に建つカフェ「天海珈琲」。
札幌から浜益、留萌方面に向かって海沿いを走っていると
厚田に入ったところで急にこの四角い建物が現れます。
広い一軒家の一階には大きな焙煎機が置かれ
二階に上がってみると
白木が美しいログハウス風の大広間に本棚がズラリ。
窓に広がる日本海の光景にも圧倒されます。
蔵書は5000冊以上だとか。
自由に読んでいいというからステキ。
私たちが通されたのは書斎風の個室。
スッキリとキレのよいコーヒーを飲みながら、さっそく本棚を拝見。
自分とは趣味の違う他人の本棚ほど面白いものはありません。
逆に自分と似たタイプの本棚を見つけた時も嬉しいのですが。
本はジャンルごとに美しく分類されていて
食に関するエッセイ(とはまた別に蕎麦本だけでワンコーナーあり。)
美術本、旅本、
なぜかサブカル&エロ本コーナーも。
エロ本といっても「江戸時代の春画集」とか
「ヨーロッパ売春婦の歴史」など知性を感じさせる
背表紙が見えても恥ずかしくない本なのですが。
息子とキャッキャ言いながら本をめくっていたら
おヒゲのマスターが静かに登場。
「宣伝になりますが〜」と言いながら
お店のパンフレットと名刺を下さったので
焙煎へのこだわりのお話が始まるのかしらと思って身構えていたら
「ごゆっくりど〜ぞ〜」と笑顔で退室されました。
夫が飲んだマンデリンはかなり深煎りで美味しかったよう。
自宅でも飲むために珈琲豆を買って帰ろうと
マスターではない別のお兄さんに
「珈琲豆の焙煎をお願いしたいんですが…」と言い出した夫。
私は「ば、焙煎からかい!」と
その言い間違いに笑いそうになったのですが
お兄さん「焙煎は時間がかかるので出来かねるのですが、
焙煎済みの豆でしたらお持ち帰りになれます」と
丁寧に答えてくれたのです。
客に恥をかかせない優しい対応の店員さんに感動。
マスターが素晴らしい教育をされているのだなと思いました。
お兄さんがマンデリンを袋に詰める作業をしている間、
奥からマスター再び音もなく登場。
「夏はカフェをオープンさせているのですが
冬は一面雪に閉ざされますのでお店は休みにして
ここはアトリエとして使っております。」と穏やかに仰る。
見ればカフェ内にはたくさんの抽象画が飾られ、
本棚の横にたくさんの絵の具と絵筆が
整然と並んでいました。
「冬は雪かきが大変です…」と呟くマスター。
この四角い建物の周囲を見渡せば
目の前の海以外は何もない草原。
雪かきの果てしなさは簡単に想像できてしまいます。
冬の厳しさはあるけど
海が見える暮らしはやっぱり羨ましいです。
こんな風に日が暮れてく様子が毎日見られるんだもの。
まだ水は冷たかったけど 海に足をつけているだけで
身体は緩み、心は静かになっていきます。
息子は砂浜でカンフーの練習をしながら寝転がって遊んで砂だらけ、
私もヨガの太陽礼拝などしてスッキリ。
特になにもしない、海沿いで過ごした半日
よい父の日になったかな。