少し前に、ラナンキュラスの布花ブローチを
インスタグラムの中でたまたま見かけ、
あまりの美しさに目を奪われました。
その布花はまるで呼吸をしているかのように見える精巧な作り。
何ともいえず憂いを帯びた優しい存在感があり、
いつか本物を見てみたいと思っていました。
作ったのはUTOPIANO (ユートピアノ)という名前の
関東在住の作家さんでした。
するとあまり時を待たずして、
札幌でこの方の作品展とワークショップがある
というニュースが飛び込んできたのです!
もちろん私は布花を作ることにも興味があったので、
ワークショップにすぐさま参加表明。
あとから知りましたが全国的に大人気の方で、
いつもワークショップはすぐ満席になってしまうそうです。
会場は真っ白い空間が気持ちよい石鹸屋さん、
Siesta Labo. 。
お店のあちこちに季節のお花が丁寧にあしらわれていて、
深呼吸したくなる清々しい空間でした。
今回のワークショップで作る布花はアネモネ。
こちらは先生が作った見本です。
赤、青、白の3色から選べるということなので
私は白にしてみました。
会場に着くと、髪がふわっと長くて
太陽みたいに朗らかな笑顔の女性が
話しかけてくれました。
はじめてお会いするUTOPIANOさんは、
何でも受け止めてくれそうな、
大らかな光を感じさせる方でした。
テーブルには材料が収められた白い箱。
敷かれた紙や、ウサギのハサミもかわいらしくて
ここで作業ができると思うと嬉しくてウキウキしました。
今回の参加者全員が揃ったので、ワークショップは
花びらを組み立てるところから始まりました。
先生の手であらかじめ染色され、カットされた
花びらを2枚薄く糊付けし、針金を挟んでくっつける作業は
じっくり落ち着いてやらなければなりません。
花びら同士がずれたり糊のムラがあると美しくないからです。
いつもの針仕事とは違う部分の神経を使わねばならず
ムズムズしてきましたが、できるだけ丁寧に。
花びらにコテをあてる作業は
以前la fleurさんのワークショップでやったことがあり、
何とかなるだろうと思いましたが、
力の微調整がうまくいかずフリルがつき過ぎました。
先生のお花みたく、ぷるんと丸いアネモネにしたい…
コテあては熟練の技が必要です。
黒い雌しべの支柱に、おじさんの鼻毛みたいな小さな雄しべを6枚
糊ではり合わせる作業がこれまた難しくて。
UTOPIANO さんの布花制作は、
生きている植物を観察することから始めるそうで、
そこから型紙を起こすので本物そっくりの作りになるのです。
花びらを一枚ずつ花芯の周りに貼り付ける大切な作業。
アネモネが生きていたとしたら
ふわっと自然に開花できるようなイメージを描きつつ
あくまでもリアルな布花を目指さなければなりません。
私のつけ方がかなり歪だったらしく、
先生は何度も驚きの「わお!」を連発。
(直してくれました)
他の参加者でとても作業が早く美しい仕上がりの方が2人いらして、
先生に「普段手仕事をやられているでしょう?」と聞かれていました。
「私もやっとります。」とはとても告白できない状況。
でも 先生の細やかなアドバイスのお陰で
茎にテープを貼って葉っぱをつける段階まで進みました!
じゃーん!
およそ2時間半で全員のアネモネブローチが完成しました。
先生がきれいにお皿に並べてくれたので、
みんなで撮影会。
生まれたばかりのアネモネたちは、
もしかしたら食べられるかもと思うほど
生き生きとして見えました。
さいごに、Siesta Labo.にお勤めで
和菓子職人でもある『季の菓子工房 しゆう』さんの
初夏の和菓子を頂きながら皆さんとお喋りしました。
ワークショップのおやつとしては豪華すぎるおもてなし!
そしてその繊細な美味しさに感激しました。
UTIPIANOさんは以前から
札幌でワークショップをやるならこの方のお菓子を、
と考えていたそう。
素敵な手仕事をする人はやはり繋がっていくものだなと感じました。
あらためて、私の手から生まれたアネモネさんを。
「 『かわいいね』と声をかけながら作るとほんとうに可愛くなるのよ〜」
と先生が仰ったとおり、
私のアネモネは特別愛らしく見えます。
いつまでも枯れずに胸元で咲いていてくれることでしょう!