その日は朝からコンサートホールkitaraで
中学校の合唱コンクールがありました。
初々しい一年生の合唱を聴いたあとは、そのまま千歳空港まで走り
夕方には東京に到着。
キラキラ眩しいショーウィンドウ、246を走る高級車。
祝日前の青山の街は、行き交う人々の高揚感が伝わってくるようで。
でも一番ウキウキしていたのは私だろうな。
一夜限りの特別なライブのために
朝から弁当作りに朝ごはん、掃除洗濯、
留守番する我が家の男たちの
夕飯の支度までも済ませてやってきたのだから。
まずは少し腹ごしらえ。
spiralにできたcallのカフェ、「家と庭」で
野菜のプレートと、日本酒を一杯。
最近はワインよりビールより
日本酒をちびちび飲むのが気に入っているのですが、
こちらにはグラスで飲めるその日オススメの日本酒がありました。
野菜のプレートに入っていた青パパイヤとビーツのサラダ、
そして大好物の和栗のキャラメリゼがすごく美味しくて!
ここは野菜やお肉などの食材のすべてを
日本の安心できる作り手から仕入れているとのこと。
天井も器もすべてがミナペルフォネンがプロデュースした
夢のような空間。
入り口の壁画も手描きだろうなぁ。
絵本の1ページのようで、うっとり。
レストランで使われている食材を販売するお店も隣接していたので
お肉用のスパイスや魚チップスなどをお土産に購入。
東京に来てまで気になるのはやっぱり家族で食べるための食材。
これは主婦病だなぁ。
そうそう。
東京のナチュラルレストランというと値段が高いお店が多いけど
「家と庭」はそんなことなくて、気の利いた手頃なお酒もあるし
必ずまた来ようと思いました。
さぁ いい具合に胃が温まりました。
特別な日に着る、黄色いワンピースで向かったのは
「ブルーノート東京」。
憧れのブルーノートに来たのは、
細野晴臣さんのライブを観るためでした!
長い階段を降りて案内されたレストランホールのテーブルには
キャンドルが灯されお酒を飲みながら開演を待つ紳士淑女の皆さんが
大人の社交場といった雰囲気(東京の夜!)を作り上げていました。
年齢層、高い!おしゃれな白髪の紳士や、
女性も会社で言うと部長クラスと見受ける女性ばかり。
私なぞ若い部類に入ることに軽く驚きつつ、
April in Parisという洒落た名前のカクテルをオーダーしてみました。
(ビールだとおトイレが近くなるし)
両耳に大きなダイヤのピアス、黒いスーツがお似合いの
パリコレのランウェイにいてもおかしくないくらい
かっこいい黒人のお兄さんにエスコートされながら、
細野晴臣さん登場。
背中を少し丸めてステージに立った細野さんは
質の良さそうなグリーンのカーディガンを羽織って
とてもリラックスした様子でしたが、
いるだけで神さまみたいに輝いていて、
穏やかで優しい存在感がありました。
細野晴臣&The Eight Beat Combo 。
細野さんとともに演奏をするのは
高田漣(g) 伊賀航(b)伊藤大地
(ds)
コシミハル(p.acc)斎藤圭土(p)
といういずれも超一流ミュージシャンたち。
ライブがはじまるとすぐに会場は
暖かくゴージャスなムードに包まれました。
照明が当たると赤や紫に変わるベルベットのカーテンに
細野さんの銀髪が映えて、素敵なことこの上なく。
もうすぐ70歳を迎えるだなんて …
この声は本当に日本の宝だなぁと思うと
目に涙が滲みます。
April in Parisはカルヴァドスが効いた
キリッと度数の高い甘〜いカクテルだったけれど、
その甘さがライブと相まってとてもロマンチックに感じました。
なにより、奇跡の声を持つ
細野さんの歌を聴きながらひとりで飲めるなんて
最高に贅沢な、大人の夜でした。